熱帯魚は人になつく?顔を覚えてもらう方法を不思議な研究結果から考察

当ブログを発信しているコワーキングスペースでは、グリーンネオンテトラなどの熱帯魚を飼育しています。
初めは水槽に近づくとビックリして逃げていたのですが、最近では顔を近づけると寄ってくるようになったので、嬉しいかぎりです(^^)
どうせ飼うなら寄ってきてくれるほうがいいですよね。
今回はそんな熱帯魚の不思議な研究結果をもとに、顔を覚えて寄って来てもらう方法を解説致します。
ちなみに、今回のアクアリウム立ち上げで、お世話になった事業者様はこちら。
熱帯魚に関する知識もこちらの方に色々と教えて頂いたので、もし自宅で初心者の方が飼育するようであれば、地元のアクアショップなどで気軽に相談できる関係が築けると良いです。

熱帯魚は人になつく?

「なつく」とはどういうことか

冒頭から残念なお知らせですが、熱帯魚は魚なので厳密には「なつく」ということはありません。
[動カ五(四)]《馴れ付く意。「なづく」とも》慣れ親しむ。慣れて付き従う。「人によく―・く鳥」「人見知りでなかなか―・かない」
goo国語辞典より
「なつく」って言葉は、犬や子供が、警戒心を解いて寄ってきてくれるイメージですね。
しかし熱帯魚も私達人間になついているように見えるんです!
その証拠に、毎朝熱帯魚の様子を見に行くと寄ってきてくれるのにも関わらず、知らない人が近づくとサッと逃げて隠れてしまう。
もう、なついているようにしか見えませんが、正確には「慣れる」という表現を使います。

なんで「なついている」ように見えるのか

魚には、人の顔を認識できるという研究結果があります。
それがオックスフォード大学とクイーンズランド大学の、テッポウウオ(熱帯魚の一種で、口から水を吐き出す魚)を使った実験です。
実験内容としては、人の顔の写真を用意し、特定の顔に水をぶつけると餌を与えるといった訓練をしたのです。
実験回数は60~90回ほど。
学習させた人間の顔と、そうではない新しい顔を44種類用意し、テッポウウオに見せたところ、なんと81%の正解率だったのです。
CNNニュースがまとめたテッポウウオの実験内容はこちら
熱帯魚以外の野生の魚でも、同じような実験結果が出ています。
他にも様々な実験が繰り返されており、個体差はあるものの、魚の種類や大きさにはあまり関係ないというから驚きです。
なついているように見えるのは、魚たちが毎日餌をくれる人の顔を覚え、それ以外の人を警戒するという行動によってなのでしょう。
というか、基本的には外部の動きに警戒する中で、特定の人間(いつも見かける人たち)の顔を覚えて、警戒を解いているのかもしれません。

熱帯魚に顔を覚えてもらうには

熱帯魚はどこまで見えているのか

魚には、私達はどう見えているのでしょうか。
霊長類と比べて視覚が劣っているのは確かです。
モノクロに見えているなんていう話もありますが、実際前項で紹介したテッポウウオの実験では、写真をモノクロにして頭の形を統一にした(髪型の変化を無くした)ら、正解率が86%まで上がったとか。
単純に実験を重ねて精度が上がったのか、モノクロが関係あるのかは分かりませんが、魚たちの見ている世界、気になりますね。
ただ、主任研究者のケイト・ニューポート博士は「人間の顔の基本的な構造は変わらないため、多くの人を覚えて区別するのは難しいだろう」と発言しています。
魚は、人間が人を区別する時に使用する脳領域が無いそうです。
まだどのようなメカニズムで顔を覚えているのかは明らかにされていないのです。
ということはですよ。
そんなに沢山の人は識別できないけど、飼い主の顔くらいだったら覚えられるかもってことですよね。
個体差によるものが大きいそうですが、熱帯魚を飼う場合は数匹~数十匹と水槽に入れるでしょうから、そのうち何匹かでも顔を覚えてくれたら嬉しいですね。

熱帯魚に顔を覚えてもらうために

さて、せっかく熱帯魚を飼うなら顔を覚えてもらいたいものです。
そのためには、なんと言っても「餌」です(´・ω・`)
当たり前過ぎて夢も何もないですが、犬だって猫だって、さらには子供だってご飯を与えてくれる人には、心を開きます。
生き物として当たり前のことですが、「餌をくれる人」=「生きる上で必要な人」です。
人間世界には通貨があったり、様々な感情や人間関係から、上記の式はちょっと違いますが、魚は餌をくれる人に全力で寄ってきます。
ちなみに、こちらが当コワーキングスペースの通常の水槽の様子。
魚たちはそれぞれバラバラに泳いでいます。
ではスタッフが近づいてみると・・・
このように寄ってきてくれるのです。
最初は来なかった子たちも、他の魚が集まっている動きを感じて、「何?何?」と最終的には全員集まるというような感じ。

熱帯魚に顔を覚えて、慣れてもらうポイント

餌は前提として、慣れてもらうためにはいくつかポイントがあるので紹介します。
これを押さえれば、熱帯魚を飼うのが楽しみになります。
・最初が肝心!必要以上に近づかない!
熱帯魚を飼う時に気をつけたいことが、最初に環境に慣れさせてあげるということ。
びっくりさせたり、怖い思いをさせないよう、安全な場所だということを知ってもらいましょう。
・水槽を叩かない
熱帯魚の種類によって、その個体によって、音や影に敏感な子たちもいます。
というかそういう熱帯魚のほうが多いので、いくら顔を覚えてもらっても、何度か怖い思いをしているうちに、あなたが近づいて来ただけで「怖い人だっ」と逃げてしまったら悲しいですよね。
・餌をあげる時には同じ動作をする
顔を覚えてくれる子もいれば、覚えるのが苦手な子もいます。
が、あなたのシルエットや餌をくれる時の一連の動きを見て、寄ってきてくれるようになります。
例えば、餌をあげる前に「いまからあげるよー」という感じで、水槽に手のひらをタッチするとか。
あとは餌の前に、思いっきり水槽に顔を近づけてみるのも効果的です。(※動かないようにじっとしましょう)
この人が来たら餌が貰えると思ってもらえれば、近づくだけで寄ってくるようになります。
・電気に注意。いきなり付けない。
熱帯魚を飼う時には照明を付けるかと思いますが、その電気をいきなりパチっと付けるとびっくりしてしまう子もいます。
理想は外が明る時間に自動で点灯したり、夜に電気を付けるようであれば、部屋の明かりを付けてから、水槽の電気を付けるといったように、驚かせないようにしましょう。
びっくりすることと、あなたの存在を結びつかせないようにすることが大事です。
・とにかく待つ
熱帯魚が家にやってきても、いきなり慣れてくれるわけではありません。
覚えてくれるには時間がかかりますので、根気強く待ちましょう。
当スペースの熱帯魚たちは、だいたい2週間位でワーッと寄ってくるようになりました。
・愛情を持つ
もちろんですが、愛情を持つことが、飼育には大切です。
昔の研究では魚には痛みがないとされていましたが、アメリカのパデュー大学での実験では、魚に痛みを与えた後、恐怖に近い反応を示したと言います。
クイーンズ大学の実験では、魚だけではなく、カニやエビなどの甲殻類も、痛みを感じる可能性があると発表。
もし、熱帯魚の飼育をするなら、愛情を持って丁寧に扱ってくださいね。




まとめ

魚はとっても賢い生き物です。
オシャレだから、という理由だけでなんとなく飼うのではなく、顔を覚えてもらって家族の一員として接しましょう。
最後にもう一つ。
ホンソメワケベラという海水魚は、他の魚の寄生虫を食べるのですが、本当は別に寄生虫が好物なわけでは無いそう。
でも、守ってもらうために関係性を維持しているんです。
さらに、餌を一人で食べずにパートナーにも分け与えるそうで、なんだか微笑ましいですね。
飼育する熱帯魚とも、お互い良い関係でありたいものです。